スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

術後の日々

2007年6月・7月

がん専門病院の病棟は、ナースステーションを真中に、術後の患者が、その周囲を一周、二周と歩けるように造られていた。

今日は1周。次の日は3周。その次も、その次も、
夫は、日々歩く距離を延ばし
「今日は○周歩いたよ」
と嬉しそうに言いながら、喫煙していた為に切れない痰をなんとか排除しようと、ゴム手袋に必至で息を吹き込んでいた。
お腹がつって痛む為に、咳払いが出来なかったからだ。
術後4日目の朝には普通病棟に移った。
毎日、朝訪れるたびにどんどん回復していく様子に驚いた。

身体が回復してくるに従って、まだ自由に動くことが出来ないことに苛立つのか、シャンプーや足揉み、身体拭きなどを私にしてもらいたがり、それが日課となった。
手術直後の、何も出来なかった時を思えば、
出来ることがあるのが嬉しかった。
自由に院内を歩ける様になった頃、スナック菓子とカップラーメンを買って食べようとしているところに、ちょうど着いた。ビックリした。腹がたった。この時ばかりは文句を言った。
「無性に食べたくなったんだ」
と言って、ヘンな所で頑固な夫は譲らない。
結局、夫の熱弁に負けてしまった。
恨めし気な顔で見つめていたのだろう。
夫は、2口食べて、後は私に食べさせた。

そうして、日々順調に回復し、廃液の管が取れた頃
主治医から告げられた。
「実は、私はこの病院の医師ではなく、K大学病院で診ています。こちらの消火器外科の医師の研修期間の代理として来ていました。こちらには今日が最後となります。明日からは研修から戻られた○○先生が主治医となりますので。」
唖然とした。何も言葉が出なかった。
「ありがとうございました。お世話になりました。」
と夫が言い、それきり、もう会うことは無かった。

夫のお腹の中を、その目で見てもいない医師が主治医になった。
その後、抗がん剤を勧められるまで、私は一度もお会いすることがなかった。


スポンサーサイト

テーマ : 家族日記 - ジャンル : 日記

<< 退院 | ホーム | ひとりじゃないとわかった日 >>


コメント

無性にねぇ~!

あのオフ会の後も、
きっとご主人は、無性にラーメンが食べたくなったのね。(笑)

これは、お心が元気(幸せ)なことを表す、
彼のバロメーターだったのかもしれないですね。

シャローム様

そうですね。
そういう風に考えたことは無かったのですが
そうだったのかもしれないって、今、思いました。
食べることが本当に好きな人でしたから。
20年も一緒にいたのに、今になって見えてくることが
沢山あって、ちょっと情けないです。
でも、こうして文字にしていると、何故か、不思議と
癒されている様に感じています。
淋しいけれど、心は穏やかです。

ありがとうございます。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

にほんブログ村 家族ブログ 死別へ
にほんブログ村

 ホーム 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。